《完》オフィスでとびきりの夜を
「……………」



“ちゃんと話す”なんて
言われても、ホッとして
いいのか困るべきなのか
サッパリわからない。



……瑞樹の考えてることが
わからないから。



(話すって……

瑞樹はあたしに、
何を話したいのよ……)



依然落ち着かない心のまま
あたしは体を押される
ようにして部屋の中央に戻る。



ラグの上まで来ると瑞樹が
まずあたしを座らせて、
続けて自分もすぐ傍に座った。



瑞樹が少しだけ背中を
かがめてるから、目の
高さがほぼ一緒になる。



並んだ目線で、瑞樹は
覗き込むようにあたしを見て、



「課長にああ言ったのは
――莉央と話をする時間が
欲しかったからだよ」
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