《完》オフィスでとびきりの夜を
「心配だよ。

だって……だって、
そんなの……」



「だって、何?

オレがもしモデルに
なったら――オレと莉央の
何かが、変わっちゃう?」



瑞樹の声はいつもと同じ
ように穏やかで、優しかった。


だけどその言葉には
あたしをハッとさせる
ような鋭さが秘められてる。



きついわけじゃないけど
心にグッと入り込んでくる
――心を見透かそうとする
ような声に、あたしが
怯えてるのかもしれない。



「わ、わかんないよ……。

そんな――何かが変わる
のかなんて」



「どうして?

何があったって、オレ達は
今まで通り恋人同士だよ?

オレが莉央を大切なこと
には変わりないし……
莉央だって、そうじゃ
ないの――?」
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