天空のエトランゼ〜蜃気楼の彼氏〜
「だけど!彼女は、3人はアルテミアの従者で、その為に、町の人々を殺したと」

「そう…思いたかったんだろうな」

アルテミアは初めて足を止め、後ろを振り返った。

「従者にとって、血は麻薬と同じ。吸わなければ、禁断症状がでる。人間であったものが耐えれるものではない」

「だけど、彼女は!」

「どうすることもできない」

アルテミアはフッと笑った後、前を向いた。

そして、歩き出したアルテミアはなぜか…泣いているように、僕には思えた。


(彼氏を失った…)

そう僕に告げた夕美の言葉は、今なら違うように聞こえただろう。

(自分を失ったと…)



「うおおおっ!」

ポイントを失ったアルテミアは、草原を歩きながら見つけた魔物に襲いかかった。

ポイントがなければ、ごはんも食べれない。

ゾンビと従者を倒しても、魔力を得ることはできない。元々、人間だからだ。

いや、もしかしたら…従者にはあったのかもしれない。

最後に残った1ポイントは…夕美からのものかもしれなかった。

「くたばれ!」

どこから飛んできたチェンジ・ザ・ハートを掴み、トンファーにすると、アルテミアは魔物達と戦闘を始めた。

その姿は…鬼神には見えなかったが、少し哀れに感じた。

生きる為に…奪う世界。

それは、虚しいが…真実であった。
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