天空のエトランゼ〜蜃気楼の彼氏〜
町から離れていくアルテミアの姿を、倒壊するビルの上で見ている者がいた。

黒髪に、黒い蝙蝠の羽を生やした…アルテミア。

「疑念…。愚かさ…。残酷さ…」

アルテミアは笑い、

「憎悪に、嫉妬…責任転換。さらに、自らの記憶さえも変えてみせる…人間」

そして、目を細めた。

「お前は、それを知らなければならない。そして、自らの運命も」

黒いアルテミアは翼を広げ、上空へ飛び上がった。

「お前の母は、人間。しかし、お前の父は!人間を捕食するバンパイア!」

一瞬で、雲の上まで上昇した。

「それでもなお、母のように、人間の為に戦うというならば!相手をしてやろう!この魔王ライがな!」

黒いアルテミアの体を使い、話しているのは、魔王ライ…アルテミアの父親である。

彼は、アルテミアを倒した時に、肉体は破壊しなかったのだ。

「自らの運命と宿命に、もがけ!我が娘!天空の女神よ」

一瞬で、マッハを越えるスピードを出すと…黒いアルテミアは、その空域から消えた。


「うん?」

ポイントが少し集まったカードを確認していたアルテミアは、振り返り、空を見た。

しかし、そこには…何もなかった。

雲一つも。



天空のエトランゼ。

蜃気楼の彼氏。

完。
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