LONELY WEDNESDAY
雨…
声には出さず唇でつぶやく


よかった、折りたたみ傘持ってて

備えあれば憂いなし
これは最初の失恋をしたときに学んだこと。
別れの兆候はあったはずなのに「わたしワールド」にどっぷりはまりすぎて気づかなかった。
天災がなにより脅威であるように、予想外の出来事はダメージが大きい。
備えあれば憂いなし。
もうあんな思いはごめんだ。

「佐竹さん、わたしやっぱりお昼出てくるね」
森下さんが肩を軽く叩く、あまりにぼーっとしていて彼女がデスクを片付け、わたしの背中を見つめ、あぁこの人はわたしと一緒にお昼を食べないんだわと気づき、声をかけるまで全く気づかなかった。
また「わたしワールド」に浸かっていたんだ。

「はい、すいません」
何も悪いとは感じていないけど口をついて出る常套句。
森下さんに心の声は聞こえるんだろうか、聞こえちゃまずいんだけど。
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