バレンタインなのに。
「あのっ……!」
横を向くと、そこには1人の女子の姿がある。
後ろの方にもう数人、
彼女の友だちらしき女子が
こちらの様子を見守っている。
「えっと、あのね、小田君!」
言いながら、彼女は小田に可愛らしい包みを突き出した。
「こ、こ、これ、受け取ってくれませんか?!」
……顔を真っ赤にして、真に可愛らしい。
「え、え、ええ、
よ、喜んで……!」
彼は答えた。
それにしても2人とも
すごいどもり具合だ。
「あ、あの、えっと、あと、
ちょっと今からお時間いただけますか?」
「はい!いくらでも!」
そして彼と彼女は、教室を出て行った。