甘い疑惑の王子様
―――………
さっきから数分たっても
シンちゃんは口を開かない。
沈黙が続く……。
その沈黙を破りたくても
シンちゃんの顔を見れば
出る言葉を飲み込んでしまう。
なんか喋ってよ…
これ…耐えらんない。
何も言わずにただ突っ立ってるだけで
雰囲気は最悪…
動く事すら許されないようだった。
「なぁ…」
やっと口を開いたシンちゃん。
『なに?』
ウズウズしていた声が
放たれるのをやっと許された。
後ろを向いたままのシンちゃんの背中は
寂しそうに見えた。