甘い疑惑の王子様
シンちゃんは家に来ては
夕食を食べてく。
それも今じゃ当たり前の事だけど
一応聞いてみた。
『はいはい』
私にとっては弟がもう一人増えたみたい。
「梨子は?」
ソファーの角に頭を乗せて
私の方に顔を向けるシンちゃん。
『分かんない…』
「見て来ようか?」
『ん~ん。大丈夫』
そっかっと顔を元に戻したシンちゃんは
再び涼の会話に耳を傾けた。
シンちゃんは本当に優しい。
同じ社宅に住んで居る幼なじみで
私の家庭事情を全て知っている。
でも、シンちゃんの親は
私達の事をよく思って居ない。