甘い疑惑の王子様


止めた足を再び進めた。


行く宛もなく
ただ歩くだけ。

シンちゃんはそれを分かって
付いてくる。



『付いて来ないでってば』

「涼が心配してるぞ」


―――!!


ズルイ……


進めていた足が
重くなり、速度を落とす。



「朝飯まだだろ?きっとお腹空かせて待ってるぞ」


更に落ちる速度。


ズルイよシンちゃん……


分かってるくせに
分かってるから言うんでしょ?


意地になってても

こんなんでも


「待ってるぞ?」



私が心配してるって
分かってるから……



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