甘い疑惑の王子様
「そんなとこで寝てたら邪魔なんだけど」
髪をクルクルにした子が
私に睨みを効かせ
続くようにショートの子も口を開いた。
「だっさぁ~惨めねぇさすが貧乏人」
いや…貧乏じゃないんだけど…
意外にも結構冷静な私は
ゆっくりと立ち上がった。
スカートの裾をパンパンと
手で綺麗にし目の前の現状に向き合った。
「なっなによ」
ショートの子がまた口を開く。
『東城さん、シンちゃんの所に行かなくていいわけ?』
嫌味っぽく真ん中の子に
私は笑顔を向けた。
東城紗耶香
同じ社宅に住む社長の娘。
昔から私に何かと
突っかかってくる。