甘い疑惑の王子様
「ちょっと来なっ!!」
それを言葉にしなくても察したのか
ショートの子に腕を強く掴まれ
引っ張られて行く。
は!?私のアップルパイ……
どんどんと遠ざかる購買を
惜しむ気持ちでいっぱいだった。
知ってる
今に始まった事じゃない。
女の子はズルイから
集団でしか居れないから
昔から私はいつも“こっち側”だった。
思わずため息を漏らして
覚悟を決める。
今日は雨なんだよ……?
ちょっとは考えてよ。
連れてかれた先は
誰にも見えない裏庭――
こおいう時の定番の場所。