甘い疑惑の王子様


満足したのかクスクスと笑いながら
その場から去って行く姿。


私の体はこれ以上にないくらい
泥だらけでびしょびしょで……


これじゃ教室戻れない……


『あー痛いなぁ…今日の特売品…』


口に出たのは
やっぱりおばさんみたいな事。


こんな状態になっても
私って……


『は……はははは』

思わず笑いが込み上げてきた。


今日は雨だから
私の声は雨の音が消してくれる。


そう思ったら
私は大声を出して泣いた。



笑うか泣くか
どっちだろ……


重たい体を起こし
ゆっくりと立ち上がった。


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