甘い疑惑の王子様
私は咄嗟に自分の体を後ろに引いた。
「動けない?」
それを見た彼は
心配そうな顔を見せた。
『…よっ汚れちゃいます!』
でないと思っていた声が
衝撃を与えられたようにいきなり出た。
それに自分でもびっくりする。
そんな私を見て
一瞬驚いた顔になった彼はゆっくりと笑顔を向けてきた。
「喋れるじゃん」
『…はぁ』
「とりあえず立てる?こんな所に居たら風邪引くから」
彼の言葉を聞いて何も答えずに
無力だった足に力を入れた。
立てる……
「良かった。こっちおいで」
私は彼に誘導され
目の前の黒い車に乗った。