甘い疑惑の王子様
車の中は見るからに高級で
テレビなんか付いちゃってる。
私が座る事でこの椅子も汚れ
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
『…あの』
「なに?」
走り出した車の中で
私は口を開いた。
『私…学校に戻ります…見ず知らずの方といきなり食事なんて……』
声が小さくなる。
そのぶん申し訳ない気持ちが大きくなる。
「気にしないでって言ってるじゃん。それにその格好で学校戻るの?」
そう言って彼は私を見た。
靴も制服も髪も
全てがぐちゃぐちゃ……
「…ふふ」
『え?』
私が自分の姿を再確認していると
彼が声を漏らして笑った。