甘い疑惑の王子様
その中に鏡を見つけ
取り出そうとした時
女物のネックレスが一つだけあった。
こんなに男物の飾りがあるのに
唯一あった女物のネックレスに
私は不思議に思ったが鏡を取り出して
箱を閉めた。
『うわ……』
鏡を見た私は自分でも驚いた。
「っぷ…ふふ」
笑いを堪えていた彼は
鏡を見た私を見て再び笑いだした。
泥だらけの顔に泣き腫らした目は
私の顔の原型を留めていない。
しかも器用にも鼻に泥が……
私は彼の笑っている理由が分かると
次第に顔が熱くなるのが分かった。
お世辞にも可愛いとは言えない顔
みっともない格好に初対面の男の人。
これ以上ない恥ずかしさが
私の顔を赤くさせた。