甘い疑惑の王子様
「はいこれ」
彼の手には綺麗なハンカチ。
『えっ…汚れます!』
私は全力で断った。
こんなに綺麗なハンカチを私が使ったら
汚くなっちゃう……
「汚れてもいいよ」
『いっいいです!』
「ったく強情だな」
え……
――グイッ
彼は私の腕を自分の方に引き寄せると
私の顔を優しくハンカチで拭いた。
「ハンカチじゃだめだね」
彼は汚れたハンカチを手にして
私に言った。
『…だからいいって言ったんです…』
私は口を尖らせながら
顔を俯かせた。