甘い疑惑の王子様
驚く私に答えも待たず
彼は言葉を続けた。
「…僕と世界が違うと思ってる?」
そう言った彼の顔は
とても悲しそうだった。
その表情が彼の印象的な容姿を
未知な印象にかきかえる。
こんな大きい家に沢山の人
お金もあって……
貴方も全てを持っているでしょ?
そりゃ…世界が違うよ。
私は普通の家庭で生まれて
普通に育ってきた。
何もかもを我慢して
今は家の事を私が全てしている。
貴方の方が確実に幸せじゃない…
なのにどうして
そんな顔をするの……
この時の私には
彼との世界の差があまりにも大きすぎて
本当の彼を知る事すらしなかった。
貴方の世界が疎ましいとさえ思った。