甘い疑惑の王子様
その後……
彼は私にまた優しく笑いかけて
ごめんねと言って
何処かへ行ってしまった。
そして私は
井上さんに車に乗せられた。
彼の放つ不思議な魅力。
何もかもを持っている彼は
幸せなのだと思っていた。
優しい笑顔をしたと思ったら
悲しい顔も見せる。
彼がお父さんと話していた時の表情は
何とも言えないくらい
悔しそうに顔を歪めていた。
車の窓ガラスに反射して映る
自分の顔を見ながら
私は彼の事ばかり考えていた。