甘い疑惑の王子様


私は残り物の食器を洗いながら
シンちゃんが口を開くのを待った。


しばらく続く沈黙と
部屋に響く水の音が疑問をもっと深くする。


シンちゃん……
何か言いたい事あるんでしょ?


なに……
あの日の事?


予想がつくようでつかない。
とにかく待つしかなかった。



どれくらいたったのか
私の背中にシンちゃんのため息を感じ

そしてシンちゃんは口を開いた。


「お前さ…」


いつもより低い声音。


私は水道を止めた。



明るい話じゃない事が分かる。

いつもの優しいシンちゃんが
そんな真剣な声になる時は


決まって私は動けない。



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