甘い疑惑の王子様
悲しそうに悔しそうに
唇を噛み締めるシンちゃん。
その表情が私の心を痛くする。
「お前はいつもそうだよな…昔から、お前から離れようとしなくて…離れるのはいつも俺から……」
だって私には…
シンちゃんから離れるなんてできない。
こんなに優しいシンちゃんを
突き放すなんて……
俯いた私の顔が歪むのが分かる。
「それが辛いのはお前だけじゃねぇぞ?離れる方がよっぽど辛いんだ。お前はそれを分かってんのか?」
シンちゃんが座っているソファーが
ギシっと鈍い音をたてた。
その音を聞いて
シンちゃんが動いたのが分かる。
「聞いてんの?真奈美」
いつの間にか目の前に居る
シンちゃんの声が降ってきた。