甘い疑惑の王子様
『……ってる』
詰まる声を必死に出した。
『分かってるよ!私が傷ついてもどんなに痛くても……それでも私はシンちゃんが傍に居てくれるなら全然……っ』
自分の体に強い力を感じ
言葉は途中で途切れた。
『シンちゃん…っ』
「…お前何なの?」
シンちゃんの腕の中に納められた
私の体に弱々しい声が聞こえた。
顔を上げる事もできず
動きが止まる。
男の人の大きな体
しかも小さい頃からずっと一緒に居た
相手はシンちゃん……
初めて異性としての
意識を感じた。
「…痛かったか…?」
あの日の事を聞いてるって
すぐに分かる。
私は何も言わずに
首を横に振った。