甘い疑惑の王子様
シンちゃんは何も言わずに
ただ私の背中に回した腕を強めた。
痛いよシンちゃん……
「もう大丈夫だから…」
『え…?』
どういう意味?
埋もれていた私は顔を上げ
首を傾げた。
シンちゃんは不適な笑みを浮かべている。
いつもの優しい笑顔とは
違う……。
『…シンちゃん?』
「俺、もう17だぜ?守りたいもんくらい自分で守んなきゃな」
そう言って
シンちゃんはニッとして見せた。
その言葉の意味が私には
よく分からなかったけど
シンちゃんが私のために
何かをしてくれた事は
何となく分かる。
その証拠に
三週間もの間
シンちゃんの周りの女子は
私に近づこうともしない。
薄々分かっていたよ…