甘い疑惑の王子様
今日はダメだ……
彼の事ばかり考えちゃう。
由利ちゃん達のやり取りを
椅子に座りながら見ていた私は
ふと窓の外に目をやった。
―――ガタッ!!
と鈍い音をたてて
椅子が倒れた。
「ちょっ真奈美どうしたの!?」
驚いた由利ちゃんは
充君と一緒に私の所へ駆け寄ってきた。
いや……違う。
これは夢?それとも幻覚?
「お~い真奈美?」
私が窓の外に呆気をとられていると
由利ちゃんはため息をつき
私と同じ方向に視線を移した。
「え!!?何あれっ」
私と同じように
由利ちゃんも驚いたように声を上げた。
窓の外には
校門の所に止まっている
大きな黒いリムジン。
あんな車持ってるのは決まってる……
絶対雅之さんだ…