Diary

大矢祐希は既に煙草の煙を吐き出しながら待っていた。
やっぱり黙っているとクールな近寄り難い空気を出している。

それがみな子を見るとすぐに火を消し、「お疲れ。」と柔らかい表情に変わった。

「お疲れです。どこで飲む?」

またあの目だ。
射ぬかれる。
思わず目を逸らしながらみな子は大矢に聞いた。


「皆藤さんて映画好き?」

顔を上げて「好き!」と答えた後に勢いありすぎたと反省した。


大矢は笑いながら
「よかった。なんかね、これ田中にもらって今日見れたらいいなと思って。」

2枚の映画のチケットだった。
田中は大矢がよくいるうちの一人。

「え、いいの?」

「まだ少し時間あるから先飯行く?飲みはまた今度でもいいし。」


なんかデートみたいだな。


最近公開したばかりのアクション映画がとても人気で大矢はそれが観たいと言った。

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