宇宙人管理者3
上司命令とは時に無茶苦茶
「暇暇暇暇ひまぁー」
銀杯の少女、国井リクがソファーに寝転がり漫画を読みながら、呪文の如く暇と繰り返す。
「煩い、黙れ、腹減った、仕事しろ」
金髪の青年、トーヤ・グリスレイが、大きな机の上に乗っかる書類の塔から一枚一枚処理している。のだが机の上は勿論、青年が座る椅子の周り、いや部屋全体が書類に埋もれてしまっている。
何故、このような事になったかと言うと、話は三日前に遡る。
上司であるラオに急に呼び出され、本部に行くと何故か笑顔でラオが二人を出迎えた。
二人は直感的にマズイと感じたが、ラオの笑顔がそれを許さず 着いた先はラオの執務室。
ドアを開けると、一人の美青年が椅子に座り優雅に紅茶を飲んでいた。
その姿を見た途端、リクは脱兎の如く来た道を引き返そうとし、トーヤは真っ青になりながらもリクの腕をガッシリ掴む。
後日、ラオによればトーヤの目線は、一人だけ逃げるつもりか薄情者!!と語っていたらしい。
謎の美青年は、三人に向かって歩きだす。
が、いきなり助走を付ける。
何をするつもりか瞬時に理解したラオは二人の部下を見捨て横に避ける。
と、一拍遅れて部屋の中に鈍い音が響いた。
美青年は、二人に向かって飛び蹴りし見事成功。
二人の被害者は、床に転がり余りの痛さにうずくまる。
「二人とも弱いね。可愛い我が孫の顔を見に遥々遠いとおーい所からわざわざ苦労して来たのに。嗚呼、じい様は悲しみの余りに涙が出そうだよ。しくしく」
わざと、遠いを強調し最後はしくしくと棒読みで泣きまね。
その光景にトーヤは無言で立ち上がる。
ちなみに、額にはくっきりと青筋が。
「その可愛い孫を足蹴にしたのは貴方だろ。この前は、いきなり壁ぶっ壊して登場して、その前はドア開けた瞬間にペンキぶっ掛けられたんだが、どういう事か説明して欲しい」
「トーヤ、鈍いんだもん。だからついつい。てへ☆」
ついついで私はいつも巻き添えを喰らっているのかとリク。
しかし、てへ☆と美青年いやトーヤの祖父が言った瞬間、どす黒く禍々しいオーラがトーヤから立ち上る。
「てへ☆じゃねぇだろーが!!クソジジイ〜!!」