俺はお前だけの王子さま

徳井君…だったんだ。




ぼんやりと職員室を後にして
教室に向かう。


ざわめく朝の廊下。



私…


桂先生から徳井君の名前を聞いた時、正直すこしショックだった。


期待が外れた…
みたいな気持ちになった。


どうして?



私…


「王子君かと…思ってた」


無意識に小声で呟いた。


私…


徳井君と王子君、どっちだろうなんて白々しく思いながら


本当は王子君だって期待してたんだ…




教室に入ると、
水梨くんと王子くんの姿が見えた。


「あ!おはよう」


私に気付いた水梨くんが笑顔で声をかけてくれる。


王子くんは
私をちらりと見てそのまま視線を外した。



別に…こんな態度いつも通り。


私なんか見てもない。


なのになんで期待したんだろう。


ちょっと心配されただけで…


恥ずかしい…



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