俺はお前だけの王子さま
飛行機が離陸するとき
渡瀬は子供みたいに顔をキラキラさせていた。


「こんなのが飛ぶってすごいね」


興奮ぎみにようやく俺を見る。


嬉しそうな渡瀬。


「………」


俺は渡瀬が修学旅行にこれて
改めて良かったと思った。


俺は渡瀬のこんな顔が
見たかったのかもしれない…


そんな俺に


「王子君…最近よく笑うね」


は……?


渡瀬に言われて
俺は口元に手を当てた。


やべ…

無意識にちょっと笑ってたのか?


俺は渡瀬から顔を反らした。



そんな俺に渡瀬は言った。


「王子君、ありがとう」


「は……?」


なにがだ?

俺は自分の気持ちを隠すように渡瀬を少しにらんだ。


渡瀬は言いにくそうに
少し上目遣いで俺を見た。


「私…王子君がしてくれたことちゃんと知ってるから」





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