俺はお前だけの王子さま

波乱のジンギスカン

国内線なんてあっという間。


俺たちは北海道に降り立った。


空港を出ると
6月終わりにも関わらず

少しひんやりと
爽やかな気候に変わっていた。


昼食はジンギスカンのBQ。


班に別れて
ジンギスカンを囲んだ。


手際よく焼く渡瀬は
ラム肉を俺とヒロキと夏木の取り皿に入れていく。


「愛子お母さんみた~い」


笑いながらそう言う夏木の言葉に、渡瀬はハッとしたように席についた。


「ごめん…つい癖で」


恥ずかしそうに
少し肩をすぼめる渡瀬。



「ヒロキやる」


俺はヒロキの取り皿に
自分の肉を入れた。


「ん?うまいぜ?」


「…くっせーよ」


俺はラム肉の独特の匂いが苦手だった。



そんな俺の何気ない言葉に
渡瀬が反論してきた。


「王子君それはないよ」


「あ…?」




「牧場の人や羊の命に対して、その言い方はないよ」



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