俺はお前だけの王子さま
苦笑いをしながら
キャベツを一気に切った時だった。



「渡瀬ってすごいな~」


包丁をにぎる私を見て
同じクラスだった男子が言った。


ストレートに
本当にすごいと思ってくれたらしい。


そんな言い方だった。



「え…?あ、ありがとう」


話したこともなかった
その男の子を見ると


爽やかに笑ってくれた。


私は褒められて
素直に嬉しかった。



だけど…知らなかった。


私のグループの子が
ずっとその彼を好きだったらしい。


いつも放課後に
彼について話してたんだって。


だけど放課後は
いつも私はいなかったから…


本当に知らなかったんだ。



< 156 / 558 >

この作品をシェア

pagetop