俺はお前だけの王子さま

「はいはい」


そんな俺はあしらうように
ヒロキは時計に目をやった。


「そろそろ渡瀬さん達出たかもな♪行こうぜ」


俺の肩を叩いて歩き出すヒロキ。


浴衣姿で
颯爽と歩く姿とは対称的に


「お前…顔がキモい」


俺の言葉に
ヒロキは鼻の下を伸ばしながら振り返った。


「だって風呂上がりの浴衣だぞ?」


そう言ってまた歩き出すヒロキ。


なんの想像してんだよ…










脱衣場前にくると
何か騒ぎがあったらしい。


少し人だかりが出来ていた。



「ねぇ、何かあったの?」


突然、ヒロキに話しかけられた女子は耳が真っ赤になった。


「えっ…水梨くんと王子くん?」

「きゃ…浴衣だしっ」


小さく騒ぐ女子たち


馬鹿らし…


俺は白けながらその光景を眺めていた。


だけど―…


「とりあえず渡瀬さんまだ中にいるかな?」


脱衣場を見て首を傾げるヒロキに


その女子たちの話した内容は
衝撃的なものだった。




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