俺はお前だけの王子さま
――…


盗み聞きを終えた俺とヒロキは部屋に戻った。


「はぁ~…だるぅ」


部屋は俺とヒロキの2人。


部屋につくなりヒロキはベッドの上にダイブして大の字になった。


「渡瀬さん…辛い過去があったんだな~。なんか意外」


「…………」


俺は窓辺にもたれて座りながら
外をぼんやり見ていた。


景色は真っ暗で、ガラスに映る自分しか見えない。


「可愛くてひがまれちゃったんかな~…女って怖ぇな~?」


独り言みたいに喋り続ける
ヒロキ。


「明日こそは渡瀬さんの浴衣、見たいよなぁ…?」


「…………」


「なぁ?王子さま~?」


「…………」


返事をしない俺に体を向けて
ヒロキは枕を投げてきた。


「なんなのお前?どうした?」



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