俺はお前だけの王子さま
少し意外な渡瀬の返答に
ヒロキは少し首をかしげた。


「そっか。彼氏と約束?」


「ううん、違うけど色々忙しいの。」


「そっかぁ、残念だな。
これからも毎日忙しいの?」


「うん。ごめんね…。」


「………」


負けそうなヒロキに
俺はだんだん笑えてきた。


ざまあみろ。


「じゃあ明日の昼を一緒に食べようよ。もちろん俺の奢りでさ♪」


ヒロキは攻めの姿勢を崩さず
渡瀬を見つめた。



渡瀬はついに折れたのか
困った顔で少し笑う。


「うん、お昼なら良いよ。
ただ奢らなくても良いから…」



ヒロキはまた白い歯を見せた。

爽やかな笑顔。


「良かった。んじゃ決まりね」


「うん。ありがとう」


渡瀬も微笑む。





俺とヒロキはそのまま
教室を出た。



< 19 / 558 >

この作品をシェア

pagetop