俺はお前だけの王子さま
渡瀬 愛子・side
2人きりになりたいんだ
小樽の街並み。
綺麗なレンガ道を歩きながら
私たちの少し前を歩く
王子くんと水梨くんの背中を見つめ
「ヒロキ君本気なのかなぁ?」
加奈子は私に
少し体を傾けて呟いた。
「きっと…気紛れかなんかだよ」
パンフレットの地図に目をやりながら、私は控えめに答えた。
そうじゃなきゃ困る…
そうであって欲しい。
「本当に…そう思うの?」
隣の加奈子の少し曇った表情をみて。
ズキン
鈍く悲しい気持ちになる。
「うん…」
小さく頷く私。
水梨くんは多分
私をからかってるんだ。
そう願いたい…。