俺はお前だけの王子さま

「あ~…」


水梨くんは苦笑いしながら
くしゃくしゃと頭をかいた。


「それは自分で頑張って?」


「え~?」



「てか…ウザいから」


「え…?」


笑いながらも
声が全然笑ってない水梨くん。


心臓がどくりとした。

なんだか…怖い。



先輩もびっくりしたようだった。


「……っ」


一瞬泣きそうな顔をした先輩はそのまま足早に帰っていった。







先輩が去ったあと―…


少し気まずい私を見て
水梨くんは困ったように少し笑った。



……っ


無理に笑う水梨くんを見て
なんだか胸が痛んだ。





< 224 / 558 >

この作品をシェア

pagetop