俺はお前だけの王子さま
王子 春馬・side

夏休みの始まりは鬱

「おい、夏休み海行くからな♪」


終業式の帰り道
突然ヒロキが言った。


は…?

なんだ突然



つーか

「…俺の意見は無視かよ」


呆れるように小さく呟く俺。


まぁ別にいいけど。


そんな俺に
ヒロキは首を傾げた。


「ん?だって春馬に聞いたって
“別にいいけど”とか言うだろ?」


「…………」


ヒロキは見透かすように俺を見てニカッと笑顔を見せた。


そのままヒロキは
ハイテンションに語りだす。


「てか俺、やっぱ愛子ちゃんにマジでキュンだし」


「…はぁ?」


「なんつうかさぁ?なんかもうマリア様みてぇに優しいよなぁ」


「………」


「はぁ~愛子ちゃん…」


何があったのかはわかんねーけど…

テンションが暴走してるヒロキ。



俺はさっき教室で長々と話をしてた渡瀬とヒロキを思い浮かべた。


2人が何を話してるのか
気にならなかった訳じゃないけど…


なんとなく俺は

離れた席でどうでも良い素振りをしてた。



どうやらその時に
何かあったらしい。



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