俺はお前だけの王子さま
「あ!愛子こっちだよ~」
夏木が手をふる方を見ると
パーカーを羽織った渡瀬が走ってきた。
「ごめ~ん、お待たせ」
少し息を切らしながら笑う渡瀬。
きっちり閉じられたパーカーに手にはビーチボールを持っていた。
「え?愛子ちゃんビキニはぁ?!」
渡瀬に対する第一声で
露骨に悲しい顔をするヒロキ。
「え?!ちゃ…ちゃんとこの下に着てるよ。」
渡瀬は慌てて言ってから
首まで赤くなり俯いてしまった。
セクハラかよ…
俺はヒロキの後頭部をツッコむように叩く。
「とりあえず…暑いから海入ろ―ぜ」
こうして俺たちは
海に向かって歩きだした。