俺はお前だけの王子さま
「愛子ってさ…」
沈黙を破ったのは夏木。
夏木の手にしたかき氷は
ピンクの水になっていた。
「愛子ってギリギリまで抱え込むから…」
「あぁ、」
それは俺も知ってる。
「なかなか見せないけど、もう限界きてるよ?」
「は?」
「愛子、ヒロキくんと付き合いだしてからイジメられてるの。」
「…は?…マジで?」
夏木はコクンと頷いた。
「ヒロキくんも断りきれないし…愛子、真面目だから悩んでる。」
「…………」
「その上、王子くんが勘違いしてちゃ…」
「は…?」
夏木は何か言いたげなのを
我慢するようにして俺を見た。
「とにかく…愛子すっごく困ってるんだからっ。王子くん助けたげてよ…」