俺はお前だけの王子さま
「…………」


「愛子、絶対ヒロキくん断りきれないよ?」


「…………」


「今頃、押し倒されて泣いてるかも…」


「おま…さすがにヒロキはそんな奴じゃねぇよ。」


「…本当に?」


夏木に見つめられて


「……………」


俺は何も言えなかった。


小さな不安が芽生え海を見ると
渡瀬とヒロキの姿が見えない。


は…?

いつの間に見失った?


俺は立ち上がって見渡したが
やっぱりいない。


「ちょっと…探してくるわ」


俺は携帯を片手に夏木を見下ろした。


「うんっ…!」


夏木の声を背に

歩きだした俺はとりあえずヒロキに着信した。


何コールしても出ない。

マジかよ…


ってかそもそもアイツ
携帯持ってんの?


海で遊んでたし…



俺は水着に携帯を突っ込むと
浜辺を駆け出した。





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