俺はお前だけの王子さま
「節約って?家計がキツいの?」

ヒロキが心配そうに渡瀬を見る。

渡瀬は笑顔で首を振った。


「普段はなんとかやってるんだよ。でも弟がサッカー始めたいみたいで色々必要になるから。」

「渡瀬さん弟がいるんだ?」

「うん。」


また普通に戻って話し出す渡瀬。



…なんだコイツ?

泣くんじゃねぇの?



ってか…

「サッカーやるだけの為に節約って…どんだけだよ」


惨めなやつだな。



そんな俺を、渡瀬が見た。

「スパイクもサポーターも高いんだよ?」


真剣な渡瀬の目。



うぜぇ…

高いんだよって…

別に何万もしないだろ。



「あ…ジュニアのスパイクとかなら春馬持ってんじゃん?」


ヒロキが思い出したように声をあげる。


「春馬、昔サッカーも少しやりかけてたじゃん。」

ヒロキが俺を見る。



「あぁ…?」


記憶を辿ると

そういや…ある


結局サッカーはすぐやめて
ヒロキとバスケを始めたから…



買うだけ買ってほぼ新品のやつがあるはずだった。



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