俺はお前だけの王子さま
「王子く…」


水梨くんの予言通り…
本当に現れた王子くん。


「いったぁ…」


水梨くんは方膝を砂浜につかせながらゆっくり腰を浮かせた。


そんな水梨くんに


「なにしてんだよ…」


王子くんはもう一度言った。


水梨くんはお尻の砂をパンパンと落としながら、

ふて腐れたように唇を尖らせる。


「ん?別に良いじゃん、何してても」


「は…?渡瀬泣いてんだろが」


王子くんはちらりと私の方をみて、悲しそうに眉をひそめた。


え…?

あ……


慌てて頬に指を当てると
たしかに濡れていた。


王子くんの言葉で初めて

私は自分が泣いていたことに
気が付いた。


泣いた…というより

多分びっくりし過ぎて
思わず出た涙…


だけど乱れたパーカーからは
肩が半分露になった状態で。



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