俺はお前だけの王子さま
ど…どうしよう…
“ありがとう?”
“私も?”
回らない頭で必死に言葉を選ぶ。
そんな私を見て
王子くんは少し口元を緩めた。
重ねられていた手が
スッと離される。
「わりぃ…」
「…え?」
「困ったなら…忘れて良いから」
「え?……え?」
王子くんは
ポケットから携帯を取り出すと時間を確認した。
「そろそろ戻るか…」
そう言うと、ゆっくり立ち上がろうとする王子くん。
「ちが…っ」
思わず声が出た。
同時に反射的に動いた私の手は
気付くと王子くんの腕を掴んでいた。
片膝を立てた状態で固まった
王子くんは少し驚いた顔で私を見た。
「違うの…あの…」
眉をひそめる王子くんに、急にまた恥ずかしくなり
掴んでしまった腕をゆっくり離す。
ゆっくり離しながら言った。
「私も……好きです…」