俺はお前だけの王子さま
「王子く…」


ドキドキし過ぎて
頭がおかしくなりそう――…


「ヒロキにもこんな顔したの?」


前髪がかかる王子くんの瞳が、意地悪に揺れる。


こんな王子くん、初めてみた…


「してないよ…キスもしてな」


キスもしてない…


そう言いかけた私の言葉は
そのまま王子くんの唇によって塞がれた。


王子くんのキス…


人生…初めてのキス


柔らかくて熱い感触に
クラクラした…



初めてなのに…深いキス。


「んん…」


どうしたら良いかわからず、
ただひたすら王子くんにリードされる。


角度を変えて何度も落とされる唇に、王子くんの息遣いが聞こえる。


頭がおかしくなりそう…

だめだょ…

こんないきなり…


王子くんの胸を押し返すように手をやる。

だけどその両手は
いとも簡単に捕まれてしまった。


もう抵抗も出来ない…


だんだん息が苦しくなってくる。


なのにどんどん気持ちがよくなってくるなんて…


私、矛盾してるよ…


王子くん――…




< 273 / 558 >

この作品をシェア

pagetop