俺はお前だけの王子さま
太陽で渇いた肌に、唇だけが潤っていく。


王子くんの舌に支配されて
頭は真っ白になってしまった。


いつの間にか砂浜に倒された状態で、王子くんの手がパーカーの上から私の胸に触る。


え…?!


私の体がびくっとなると、ようやく唇が離された。


私を見下ろす王子くんは
今さら少し照れたような顔をした。


「悪い…」


「………」


何も言えず砂浜の上でただ息を切らす私に
王子くんは少し口元を緩めた。


「これじゃ…俺、ヒロキと変わらねぇな…」



「み…水梨くんは…キスしてないよぉ…?」


「は…?」


「ここに…されただけで…」


そう言いながら額を触ると

王子くんは私の上から退いて砂浜にしゃがみ込んだ。


「あ―…あの野郎…完全にはめられた…」


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