俺はお前だけの王子さま
「ところで渡瀬さんは春馬さんの大切な女性なんですか?」



「え…?」


「春馬さんが女性を連れて来られるのは初めてなので…」


目を丸くする渡瀬に対して
山ちゃんはニコニコしながら
俺を見た。


俺は頭をさわる。


「まぁ…一応、彼女だけど」


自分がうざい…


隣で渡瀬が真っ赤になるから
俺までつられて照れる。


「ふふふ、やっぱりそうでしたか。」


山ちゃんは嬉しそうに微笑んでから、少し小さな息を吐いた。


「あの…こんなこと私から申し上げるのは恐れ多いのですが…」


ためらいがちに山ちゃんは続ける。


「渡瀬さんは…一般のご家庭の
お嬢様でございますよね?」


「え…?」


またまた唐突な山ちゃんの質問に、渡瀬は戸惑いをみせた。



俺もいきなりの山ちゃんの言葉に少し驚いた。


だけど…

山ちゃんは世間体とかを気にする人じゃない。


ヒロキのことだって、俺の親友として認めている。


俺は山ちゃんに目をやった。


< 300 / 558 >

この作品をシェア

pagetop