俺はお前だけの王子さま
―――…


「なぁ春馬~課題、写し終わんねぇから借りて帰ってい?」


俺と渡瀬が部屋に戻ると

すでに写すことを放棄したヒロキがTVゲームを始めていた。


「…好きにしろ」


俺の部屋を知り尽くしているヒロキは床に寝そべり、くつろぎまくっている。


そんなヒロキの隣で


夏木はちょこんと座り俺の課題にパラパラと目をやっていた。


「まだ夏休み始まってすぐなのにもう課題おわらせてるなんて、なんか王子くん意外だよ~」



夏木の声を聞きながら
俺はどさっとベッドに腰をかける。


「そんなん…だらだらやる方が面倒だろ…」



まだ少し混乱している渡瀬は
遠慮がちにラグがひかれた床に座った。



「春馬はこう見えて英才教育だからな」


ゲームのコントローラーを連打しながら、ヒロキが余計な事を話し出す。


「空手もやってるし楽器も弾けるし―…ってヤベぇ負ける!」


ヒロキは体を起こすとコントローラーをさらに連打した。


俺はヒロキの言葉に、渡瀬の顔色が変わっていくのが分かった。


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