俺はお前だけの王子さま
渡瀬 愛子・side

指導レポート

長い塀に囲まれた立派な家。


和風モダンというのか…


私は肩から提げた鞄をかけ直し簡単に身だしなみを整えた。


ここに来るのはこれで5日目。


相変わらず緊張しながらインターホンを押すと、山田さんの声がした。



門の中に入ると美しい日本庭園が広がる。


この家はなんなんだろう…


自分が本当に、場違いな存在に感じてしまう…


だけど王子くんが待ってくれてるから―…


あの日、私が通うことが嬉しいと言ってくれた王子くん。


その言葉が場違いな私の毎日の支えになっていた。



離れに行くと山田さんが待っていた。


私は今日も、山田さんに色々な作法を教わる。


言葉使いやお辞儀の仕方ひとつ
私が改める所は山ほどあった。


自分がいかに無知だったか…


山田さんが教えてくれていなかったら、自分の無知さにすら気付いていなかった。


このまま王子くんのご両親に会っていたら、どれだけ恥をかいてたんだろ。


きっと恥をかいてることすら、あんまり分からなかったかも…



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