俺はお前だけの王子さま
コンコンッ


「王子くん…入るよ?」

ノックしてからゆっくりとドアを開ける。


私が部屋に頭を覗かせると、
王子くんはベッドにうつ伏せに寝ていた。


「ん…入って…」


私に気付いた王子くんは顔だけこちらに向け、少し眠そうな声を出した。


私はおずおずとベッドの横の床に腰を落とす。


「だ、大丈夫?眠い?」


王子くんは体を仰向けに直すと閉じたままの目を軽くこすった。


「いや、疲れただけ…」


「そっか。大変そうだもんね…」


王子くんは目を薄く開けると
腕を伸ばして私の髪に触れた。


そのまま無言で
ただ髪に触れる王子くん。


王子くんの綺麗な顔に、心臓がドキドキしだす。


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