俺はお前だけの王子さま
「………早く言えよ」


用件を。


《っ!あぁ…いや、やっぱ俺…引かれるわ…》


「……今さらお前に引いたりしないから。」


《…それいい意味?》


「さぁな」


《はは…》


ヒロキは力なく笑った。


そして少し間が空いて――


ヒロキは覚悟を決めたように
ポツリと言った。



《俺…気になる子ができたわ》


「…は……?」


《あんなに愛子ちゃんに本気だったのに…やっぱ、あり得ないよなぁ?》


「………」


俺は何とも言えずに頭をかいた。


《しかも中学以来ずっと本気になれなくて、やっと愛子ちゃんに本気になったとこでさ。》


「………」


《その失恋直後じゃん?やっぱ俺、頭ヤバい?自分でもさすがにちょっとあり得ないとか思うんだよな》


思い詰めていたものを吐き出すように話し出すヒロキ。


とりあえず落ち着け。


「……誰だよ?」


聞きながら、なんとなく想像は付いてるけど。


《………》


「おい…?」


《…………加奈子ちゃん…》


ヒロキはポツリと呟いた。




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