俺はお前だけの王子さま
ぽんっ

ヒロキが俺の肩を抱いた。


「まぁまぁ。渡瀬さんにはまだ手ぇ出すんは早いからもうちょい待て」


にやりと笑うヒロキ。


「しっかり熟成させなきゃな」


「…………」


俺は、いやらしく俺の肩を揉むヒロキの手を払いのけた。



教室の前に到着すると
ヒロキは制服のネクタイを締め直した。



「ついでにエロ顔も締めとけよ」


「うっせ―」


ヒロキはゆるく伸びた鼻の下もキリリと締め直した。



ガラッ


教室に入ると視線が集まった。


『え?うそ!王子くんも委員なの!?』

『白王子も!?』

『やば…2人めっちゃカッコいいんだけど…!』


そんな声にヒロキは満足そうに俺に目配せをしてから教室の中へ足を踏み入れる。


「春馬も早く入れよ?」


ヒロキが俺に振り向きながら
爽やかな白い歯を見せると


小さな悲鳴と甘いため息が聞こえてきた。



< 33 / 558 >

この作品をシェア

pagetop