俺はお前だけの王子さま
俺はゆるんだ口元を隠すように少し咳払いした。


そんな俺をみて渡瀬が少し赤面する。



「…王子くんが笑うとなんか嬉しいな」


「…は??」


俺が渡瀬を見ると渡瀬は真っ赤になりつつも少し潤んだ瞳で俺を見ていた。


「なんか、普段クールな王子くんが…」


「あぁ?」


「お…王子くんが…」


そこまで言うと恥ずかしそうに
口ごもる渡瀬


「…なんだよ?」


俺は軽く首をかしげた。


渡瀬は赤い顔のまま俺から視線を外した。


「お…王子くんが…私をちゃんと好きなんだなって感じる…」


「…………」



「ご…ごめん」


渡瀬は真っ赤になった顔を隠すように耳にかかった髪をおろした。


「ちょっと…自意識過剰でした」


渡瀬は真っ赤な顔のままちゃぶ台の上の課題を片付けだした。


「………」


俺はそんな渡瀬の腕を捕まえる。


「え?」


「別に…自意識過剰じゃねぇよ」


「………」


「渡瀬の言う通りだから」


俺は渡瀬が好きなんだから…


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